その一杯にくつろぎを

岡 年孝 [おか としたか]さん (44)
『カフェ ロンド』 珈琲が美味しく飲める喫茶店

昔ながらの喫茶店。そんな佇まいの建物のドアを開けると、美味しい珈琲とくつろぎの時間が待っている。三原市本町にある『カフェ ロンド』。店主の岡 年孝さんが2018年に始めたのは珈琲が美味しく飲める喫茶店。珈琲に合う食べ物、チーズケーキやカレーなどを用意している。“懐かしいけど新しい”をめざす店は、三原の喫茶店では珍しい夜9時までの営業。店内の壁には企画展の作品が掛かり、さりげなく選ばれた小物たちがそこココに置かれている。

定番メニューのチーズケーキをいただいた。プルーンとラム酒入りの大人味。キメの細かさが絶品だ。言わずもがな、濃厚な甘さがその後に口にする珈琲の苦味と良く合う。この組み合わせを否定する人はよほどの珈琲嫌いかチーズケーキ嫌いに違いない(笑)。珈琲は雑味のないスッキリとした味わい。メニュー表を見ていると、赤いクリームソーダなるものが⁈珈琲を使ったカクテルも提供している。トーストも日によって一風変わったものが登場するようだ。正統派なようでいて確かになんだか新しい。そんなお店、ぜひ一度訪れてみてはいかが?

caferondoチーズケーキ

歴史ある店名と名前の力

三原でロンドという店名を知る人は多いことだろう。その前身である『画廊喫茶 ロンド』は昭和30年代から場所と店主を変えながら三代続いてきた店だった。その四代目と呼ばれることを岡さんは少し恥ずかしくも嬉しいと言う。岡さんが自分で店を始めようと物件を探していた時のこと。別の店名や具体的な構想が固まって行くさなか、偶然引き合わせてもらうこととなったのが今の建物だった。子どもの頃、親に連れられて訪れたこともあった喫茶店。「まさか自分がその歴史ある店名を背負うことになるとは夢にも思わなかった」のだそう。画廊喫茶の名称は変更したものの、現在も企画展や作品展を行なっている。そして、自らも美術展に足を運ぶようになった。

前の店と同様に今でも近隣の方々、店に愛着のあるお客さんが通ってくれている。岡さんはそれを「ありがたくも棚ぼた経営」と笑うが、それは岡さんの人柄と努力あってのこと。そう思うのはきっと私だけではないはず。そして面白いのがロンドという言葉の意味。調べてみると“ロンド”とは音楽の楽曲の形式の一つで、同じ旋律を何度も繰り返すことをいうのだそうだ。場所や店主を変えながら同じ名前、同じ形式の店が60年以上も続くことに名前の力を感じざるを得ない。

カフェロンドの外観

三原のまちづくり 楽しめる街になりつつある

岡さんは元ホテルマン。その頃の上司の呼びかけで珈琲豆を販売する仕事に転職。その後、東広島で珈琲豆販売とカフェを併設する店舗の開店当初のスタッフとなった。その店は東広島の“まちづくり”の基盤となった店だった。一つの店舗の誕生で街が発展的に変わっていく姿を目のあたりにしたという。その店での仕事に楽しさを感じた岡さんは、自分でもカフェを開きたいと思うようになる。それを目標に三原に戻って働き、念願の店を持った。

「自分が店をやるなら地元である三原だなと思った」岡さんは三原生まれの三原育ち。となり街の尾道が観光で発展して行く中、尾道と三原を比べる風潮をもったいないと感じていたという。ここ1年で三原にも個性的な店が増え、カフェのお客さんからも「尾道に行かなくても楽しめるようになってきた」という声を聞くようになった。「地元の小さい商店が頑張れば楽しめる街が作れる。これこそがすばらしい」と、岡さんは言う。同じように三原で店舗を経営している店主たちとの連携も生まれているようだ。小さい店ながらも三原のまちづくりに貢献したいのだと語ってくれた。

岡 年孝さん

 

リラックスして時間を過ごして欲しいから

取材をさせてもらったのはクリスマス前の12月半ば。西洋ではクリスマスの時期に作り、その日の訪れを楽しむケーキ、『シュトレン』を今年も作ったとの話になった。聞くとそのシュトレン。作るのにずいぶん手間がかかるらしい。お客さんにも喜ばれたという。「ひとり暮らしの年配のお客さんにクリスマス気分と珍しさを楽しんで欲しい」のだそう。また、カフェ ロンドは三原市にある多目的ホール『ポポロ』へ向かう駅からの道に位置する。コンサートを楽しむ前後のお客さんも多い。その日に出演する歌手や演奏者のCDがあれば店内でかけるし、なるべくその音楽に近いものを選んでBGMにするという。お客さんたちの気分を壊さない店づくりをしているのだ。

あまり店主から喋りかけることはしない主義。珈琲豆のことや厳選された食材などもあえて店側から伝えることはしない。それは、ただお客さんにリラックスして時間を過ごして欲しいという想いから。店のこだわりを考えてくださる度に「だからこだわりはないんです〜」と笑う岡さん。いい感じの肩の力の抜け具合、うらやましい!だがしかし、岡さんの入れてくれる美味しい珈琲の湯気の向こうには、お客さんへの思いやりとしっかりとした理念とが見え隠れしているように感じた。

自分を動物に例えると?

ハムスター
飼われているカゴの回し車の中でクルクル走って遠く(イメージ通り)に行ったと思い込んでいる頭の悪さがなんともかわいい

子どもの頃の夢は?

マーシャラー(空港で飛行機を誘導する仕事)
飛行機に乗るのが好き 上空から街が見えるとワクワクする
ホテルマン時代、空港近くのホテルで働いていた時は航空の仕事と関われて嬉しかった

岡さん語録その1

「ただお客さんに来てもらうためだけに店名を引き継ぐのは余りに無責任だと思った」

岡さん語録その2

「一見普通だけどオリジナリティーのある店が好き。自分の店もそうありたい」

『カフェ ロンド』
広島県三原市本町1-9-2
0848-29-9600
営業時間: 11:00〜21:00
定休日:毎週火曜日 第5月曜日
【Facebook】https://www.facebook.com/caferondo.mihara/

文:小林和佳子

法常寺神原住職小早川隆景ゆかりの寺を守る住職

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