夫婦で育む 島たまご

堀本 隆文 [ほりもと たかふみ]さん (67) 紀子 [のりこ]さん (77)
『夫婦で育む 島たまご』 島たまごプロジェクトの 『感謝祭』

『鷺島みかんじまプロジェクト』の一環である『島たまごプロジェクト』のイベントの『感謝祭』が行われる 佐木島の鶏舎を訪ねた。
この鶏舎のオーナーさんは、堀本隆文さん(67 )、紀子さん(77 )ご夫妻。
隆文さんは、お仲間と鶏10羽をさばいて調理の下ごしらえの真っ最中。この鶏は今飼っている雛鶏の先代で、きょうは、その鶏たちに感謝し、みんなで命をありがたくいただくという日なのである。隆文さんたちにより、手際よくさばかれた鶏たちは、焼き鳥、アヒージョ、鶏のスープになって、参加者のお腹を満たしていく。
今ここに集う参加者は、これまでにこの島たまごプロジェクトに関わった人やその家族。

平飼いにチャレンジ

2018年、これまで放棄されていた鶏舎を改修し、新しいやり方で鶏を飼おうと、地元『鷺邸』のオーナー 白須さん夫妻に相談。ケージ飼いではなく、『平飼い』で鶏を飼うことにした。放棄地であった鶏舎を整備する作業は困難を極めた。生い茂る雑木の伐採、草刈り、ごみの運び出しなど途方もない作業。しかし、趣旨に賛同したボランテ ィアの協力や三原市観光協会の後押しで、準備は順調に進んでいった。


2019年2月には庭にクローバーの種をまき、シンボルとなる六角鶏舎の屋根に赤いペンキが塗られた。カラス除けに鶏舎の周りに柵を設置、天井にネットを貼りめぐらせた。周りには農家から譲り受けたミカンの木を植樹した。このミカンは、摘果した実を雛たちのえさに混ぜて与えるためである。
4月、いよいよ、名古屋から兵庫県を介して名古屋コーチン110羽がやってきた。10羽がオス、100羽がメスである。小さかった雛も3か月で成長、人間でいえば高校生。元気に庭を駆け回る。・・・こんなに速く走る鶏を見たのは初めてかもしれない。
紀子さんは、
「足の色がきれいな青い色でしょう。それにすごくいい目をしている。羽の色がまたいい。私、大好きなんです」と目を細める。毎日、ひじきとわかめ、摘果ミカン、牡蠣殻を混ぜたえさを食べ、元気に庭を駆け回る。10月には待望の卵を産んでくれるという。

気が付けば夫婦で30年。

結婚30年目のご夫婦。隆文さんに見初められて島に渡り、農業も鶏飼いもしたことがない紀子さんは、毎日不安で、鷺の港から対岸の三原の街を眺めていたそう。しかし、「夫のやさしさに支えられ、夫婦仲良く今日までやって来られました」
と語る紀子さんのお顔は島たまごのようにつやつや。ますますお若い。
お二人とも、お互いを「やさしい人柄」という。隆文さんは5日おきに、夜勤で、タクシーの運転手をしている。
「夜勤明けに、鷺の港から見る朝焼けは最高の気分です」とおっしゃる。
「70歳の定年までは運転手をし、その後は鶏飼いに専念しようと思っている。あまり無理をせず羽数は500羽程度に増やしていきたい」
と夢を語る隆文さん。
「島の人はみんなやさしい。島の人やボランティアの方と人の輪がつながっていくのがすごくうれしい」と紀子さん。
「島みかんプロジェクトの一環として皆さんと良い関係を保ちながら、ゆったりと楽しく生きていけたら満足です」とお二人で笑った。
夫婦愛、仕事愛、鷺島愛、仲間愛、お二人の笑顔に元気をもらえた一日となった。

『島たまごプロジェクト』
三原観光協会主導『鷺島みかんじまプロジェクト』の一環として、2018月から『島たまごプロジェクト』が始動。三原市の離島『佐木島』で、一度は辞めて放棄されていた鶏舎を修復し、そこで島の柑橘を餌として与えた鶏 『瀬戸内柑太郎』を育てる。三原佐木島だけのオリジナルたまご『島たまご』を作り、三原でしか食べられない島たまごメニューを作っていこうという新規プロジェクト。

文:中曽年世

麦から生まれたもの

素晴らしい人生に感動し、感謝。それが私の生き方

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